書評

【書評】資産運用で損しないために『臆病者のための億万長者入門』を読もう

先日、橘玲さんの著書『臆病者のための億万長者入門』(https://amzn.to/31wkeaD)を読みました。

僕は現在NISAやiDeCoで株式投資を行っています。始める前には少し資産運用について学んだので、『臆病者のための億万長者入門』に書いてある内容のいくらかは聞いたことがありました。ですが、本書では株式投資や不動産、為替などの資産運用について論理的に詳しい説明がされており、理解が深まりました。資産運用について少し知識はあるけど、理論が分からない、詳しく知りたい人におすすめします。

 

さすがに資産運用についての知識がほとんどない人が読むと理解するにはかなり時間がかかると思いますので、簡単な内容の本でいくらか理解してから本書を読むと良いのではないでしょうか。

 

『臆病者のための億万長者入門』で印象に残ったところ

本書を読んで、僕が印象に残った部分を紹介します。

みなさんも参考にしてみてください。

 

お金持ちになるための3つの方法

お金持ちになるための方法は実は3つしかない。

  1. 収入を増やす
  2. 支出を減らす
  3. 資産を上手に運用する

当たり前と言ったら当たり前ですが、みんな本当の意味でこの3つを理解して行動につなげられているでしょうか?

 

1.収入を増やす

まず、収入を増やすことについて考えます。みなさんも収入を増やす手段を想像してみてください。

 

資格を取得したり、スキルを身につけたりして給料を増やすことを想像した人が多いと思います。しかし、本書では確実な方法として紹介されているのが長く働く方法です。このことは「人生の人的資本の運用期間を伸ばす」と表現されています。死ぬまで働けということかと思われるかもしれませんが、社会に働きに出ずに居場所がなくなるくらいなら、働き続けるという選択肢は大いにありだと思います。お金の心配をしなくてすみますし、若い働き手が少なくなっていく社会に貢献もできます。

 

2.支出を減らす

次に支出を減らすことについてです。絶対に必要だと思ってお金を払っていても、理論的に考えると無駄な出費だということもあります。

 

本書では生命保険について解説されています。中でも特に損するものの1つとして紹介されているのが貯蓄型の生命保険です。掛け捨ての保険が嫌いなので、貯蓄型の保険に加入するという人が多いのですが、よく考えると自分で積み立てするのと何も変わりません。むしろ保険にかかる経費の分、貯蓄型の保険の方が不利なのです。

 

このように何も考えずに、感覚的に得だと思うものに飛びつくと痛い目にあう場合が良くあります。失敗しないためにお金についての正しい情報を身につけておくことはかなり重要です。

 

3.資産を上手に運用する

最後、資産を上手に運用することについて。資産運用の成果は「運用に回す資産額」と「運用の利回り」で決まります。運用できるお金を増やすには、1の収入を増やす、2の支出を減らすを実践します。

 

運用の利回りを決めるのは、何に投資するかです。ここで注意する点があります。それは、素人にはうまい話は絶対に回ってこないということです。儲かりそうな話ほど気をつけないといけません。銀行や証券会社が勧めてくる金融商品は手数料が高いものが多いです。自分である程度資産運用について勉強し、勧められた金融商品をわけが分からないまま買ってしまうなんてことがないようにしましょう。

 

株価はどうやって決まっているのか?

株価とは、将来の一株あたりの利益の総額を現在価値に換算したものである 。と本書で説明されています。現在価値とは、将来手に入る予定のお金が現在どれくらいの価値があるかということ。例えば1年後に1000円の利益が生まれる株があるとします。その株を現在お金に変えようとすると、もちろん1000円より価値は下がります。現在の換金額が950円だとすると、その株の現在価値は950円であると言えます。

 

もちろん会社が普通1年でなくなることはありませんので、1年目に1000円、2年目にも1000円、3年目にも1000円の利益が生まれます。このように会社が続く限り、1年毎に1000円の利益が出ます。1年目にもらえる1000円の現在価値は950円だとしても、2年目の1000円の価値は950円よりもさらに下がります。3年目はもっとです。株式の価値は、このように下がっていく現在価値を収束するまで無限に足し続けていったものになります。

 

説明するとややこしいですが、1発で計算する方法も紹介されています。例えば1株あたりの1年の利益が1000円で、1年毎に価値が下がっていく割合(金利)を5%だとします。このとき株式の価格は1000÷5%で20000円になります。

 

もちろんですが、これは机上の空論です。会社の利益なんて1年毎に変わるし、金利も変わる。正確な株価の予想なんて誰にもできないのです。ですが、このことを頭に入れておくと、現在の株価が実態に比べて高いのか安いのか判断する目安になります。

 

日本の株価が低い理由は?

日本の株価が低いのは、採算性を高めることができない社会構造にあると本書で述べられています。単純に儲からない部門からは撤退し、稼げる部門に力を注げば収益は上がります。しかし、日本では正社員を解雇できないため、たとえ儲からない部門でも簡単にやめることはできません。縮小している市場に残り続けてしまうので、過剰供給になって、価格競争に陥ってしまいます。こうしてますます儲からなくなってしまいます。

 

では正社員を簡単に解雇できるような制度としてしまえば良いかというとそうでもないようです。社員を解雇すれば、会社の利益は上がり、株価も上がるかもしれません。しかし、社員をやめさせたぶん失業率が増加し、自殺者も増えると予想されています。会社の利益を追求するか、社員の生活を保証するかは難しい問題であると言えます。

 

働く側としては、会社が利益を追求し、社員を簡単に解雇するようになっても対応できるようにしておかないとだめですね。もし今の会社に居続けるのなら、その中で選ばれる人材にならないといけません。会社をやめさせられる前提で考えるなら、現在所属している会社だけで通用するスキルがいくらあっても意味がありません。どこにいっても使えるスキルを磨いておくことが大切です。さらに失業期間を安心して過ごせるためも資産も必要になります。

 

為替はどうやって決まる?

為替は異なる通貨で売られているものの値段を同じにするための単なる道具だと本書に書かれています。

 

日本で100万円で売っているものが、アメリカでは1万ドルで売っているとします。このときの為替は1ドル=100円。ドルと円の価値をこのように設定することで、日本とアメリカで売られているものを同じ価値にすることができます。

 

デフレ通貨の価値は上がる?下がる?

また「インフレ率の低い(デフレの)通貨は必ず上昇する」と本書で述べられています。どういうことでしょうか?

 

先程と同じ商品の場合、(極端な数字にしますが)日本は超デフレになって50万円、アメリカは変わらず1万ドルで売っている状況だったとします。このときの為替は1ドル=50円。円高になりましたね。このことよりデフレの通貨の価値は上がると言えます

 

知識経済の時代

現代は知識経済の時代だと本書で述べられています。知識経済とは、直感では分からないことから富を生み出す仕組みのことです。今は直感でわかることに価値はありません。じっくり考えないと分からないことが求められます。

 

保険や投資なんかは時間をかけて考えないと分からないものの最たる例です。ある程度の知識を自分で仕入れ、自分の頭で考える力がないとすぐに損します。直感的に得しそう、儲かりそうな話ほど、一旦立ち止まって考えなければいけません。

 

まとめ

今回紹介した書籍『臆病者のための億万長者入門』(https://amzn.to/31wkeaD)は資産運用について知識を深めたい人や、誤った資産運用をしたくないといった人におすすめです。

 

印象に残ったポイントとして下記のことを紹介しました。

  • 株価はどのように決まるか?
  • 為替はどのように決まるか?
  • 知識経済へ時代が移行している

特に株価決定の原理や為替がどうやって決まっているかについての説明はとても分りやすく、僕は納得できました。この記事を読んで興味が湧いた人は是非読んでみてください。

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