書評

【要約と感想】『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』

永井孝尚さんの著書『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』https://amzn.to/3gSEqKm)を紹介します。

著者の永井さんは日本IBMにおいてマーケティング・人材育成を担当された方です。現在は会社を設立され、新規事業の開発支援や経営戦略を指導されているそうです。

永井孝尚さんの公式サイト(https://takahisanagai.com

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』の目次・概要

下記の5つの章それぞれで合計50冊の本が要約して紹介されています。

  • 戦略
  • 顧客とイノベーション
  • 起業と新規事業
  • マーケティング
  • リーダーシップと組織

ひと言であらわすと「著者おすすめの50冊の良い部分がつまみ食いできる本」です。

さすがにこの本だけ読んで50冊の内容すべて理解できるわけではありません。

この本を読んで興味のあると思った本だけポチって、詳しく読めばより理解が深まります。

 

50冊を1冊にまとめているわけですから、次々に紹介される本に頭がパンクするかもです。

まず初めにザーッと読んで、目にとまった部分をじっくり読むと良いと思います。

 

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』で紹介されている本50冊とは?

本書で紹介されている50冊の本は下記のとおりです。

  1. 『新訂 競争の戦略』M・E・ポーター
  2. 『競争戦略論Ⅰ』M・E・ポーター
  3. 『戦略サファリ 第2版』ヘンリー・ミンツバーグ
  4. 『競争優位の終焉』リタ・マグレイス
  5. 『良い戦略、悪い戦略』リチャード・P・ルメルト
  6. 『ゲーム理論で勝つ経営』A・ブランデンバーガー
  7. 『コア・コンピタンス経営』ゲイリー・ハメル、C・K・プラハラード
  8. 『企業戦略論』ジェイ・B・バーニー
  9. 『ダイナミック・ケイパビリティ戦略』デビット・J・ティース
  10. 『知識創造企業』中野郁次郎、竹内弘高
  11. 『顧客ロイヤリティのマネジメント』フレデリック・F・ライクヘルド
  12. 『ネット・プロモーター経営』フレデリック・F・ライクヘルド
  13. 『キャズム Ver.2』ジェフリー・ムーア
  14. 『イノベーションのジレンマ』クレイトン・クリステンセン
  15. 『イノベーションの解』クレイトン・クリステンセン
  16. 『ジョブ理論』クレイトン・クリステンセン
  17. 『企業かとは何か』J・A・シュンペーター
  18. 『アントレプレナーの教科書』スティーブン・G・ブランク
  19. 『リーン・スタートアップ』エリック・リース
  20. 『トヨタ生産方式』大野耐一
  21. 『アダプト思考』ティム・ハーフォード
  22. 『ZERO to ONE』ピーター・ティール
  23. 『【新版】ブルー・オーシャン戦略』W・チャン・キム/レネ・モボルニュ
  24. 『ブルー・オーシャン・シフト』W・チャン・キム/レネ・モボルニュ
  25. 『発送する会社!』トム・ケリー
  26. 『メイカーズ』クリス・アンダーゾン
  27. 『ブランド優位の戦略』デービット・A・アーカー
  28. 『価格の掟』ハーマン・サイモン
  29. 『フリー』クリス・アンダーソン
  30. 『パーミッション・マーケティング』セス・ゴーディン
  31. 『戦略販売』R・B・ミラー
  32. 『エクセレント・カンパニー』トム・ピーターズ/ロバート・ウォーターマン
  33. 『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』ジム・コリンズ
  34. 『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』ジム・コリンズ
  35. 『日本の優秀企業研究』新原浩朗
  36. 『ティール組織』フレデリック・ラルー
  37. 『企業変革力』ジョン・P・コッター
  38. 『企業文化 生き残りの指針』エドガー・H・シャイン
  39. 『巨象も踊る』ルイス・V・ガースナー
  40. 『スターバックス再生物語』ハワード・シュルツ
  41. 『成功はゴミ箱の中に』レイ・クロック
  42. 『幸之助論』ジョン・P・コッター
  43. 『人を伸ばす能力』エドワード・L・デシ
  44. 『フロー体験入門』M・チクセントミハイ
  45. 『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』アダム・グランド
  46. 『予想どおりに不合理』ダン・アリエリー
  47. 『選択の科学』シーナ・アイエンガー
  48. 『影響力の武器 第三版』ロバート・B・チャルディーニ
  49. 『さあ、才能に目覚めよう 新版』トム・ラス
  50. 『リーディングス ネットワーク論』ミルグラム/コールマン/グラノヴェター

これら50冊の中から読む本を選ぶだけでも大変ですね。自分にとって何が必要かを見分ける時間を節約するためにも本書はおすすめです。

 

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』の要約

僕が50冊の紹介の中から興味深いと思ったものを紹介します。

 

『企業戦略論』

企業の強みが分かる4つの質問が紹介されています。それぞれの頭文字をとってVRIO(ブリオ)です。

  1. 価値(Value)があるか?
  2. 希少性(Rarity)があるか?
  3. 真似が難しい(Inimitability)か?
  4. 組織的(0rganization)な仕組みがあるか?

これら4つを兼ね備えた経営資源こそが本当の企業の強みであると述べられています。

多くの企業は自社の本当の強みを持っているのに、それに気付かないことが多いのも問題です。また自社だけが持っている強みだと思っていることが実際はそうでもなかったりします。

もっとも重要なことは本当の強みを認識することです。

 

『イノベーションへの解』

破壊的技術とは製品の性能を引き下げつつ、低価格・シンプル・小型化・使い勝手の向上などを実現する技術のことです。

破壊的技術には新市場型、ローエンド型の2種類があります。

 

新市場型破壊

今まで商品を使わなかった人たちが使い始める破壊的技術のことです。

1950年代にソニーがトランジスタラジオを発売した事例が紹介されています。

当時はラジオと言えば真空管ラジオ。トランジスタラジオは小型ですが、音質は真空管のものに比べると劣っていました。ですが、価格が安くなったので、それまでラジオを買わなかった若者の間でヒットしました。そのうち音質も向上され、ただ大きいだけの真空管ラジオは廃れていったのです。

このようにそれまで買わなかった人を顧客に取り込み、成長するのが新市場型破壊です。

 

ローエンド型破壊

低コスト製品を安く提供する破壊的技術のことです。

百貨店は接客やサービスが高く、とりあつかう商品も高額になります。

一方で百均やディスカウントストアは接客にかかるコストを徹底して減らし、できるだけ安く商品を買いたいという消費者の希望にこたえています。

 

これら2つの破壊的技術を使ってリーダー企業と戦うためには?

顧客の課題を見つけることが重要です。

顧客がやりたくてもできないことを発見し、その解決策が提示できれば、今まで何も買わなかった人にも商品を買ってもらうことができます。

成長の種はいつも顧客の「片づけなければならない用事」の中にあるのです。

 

『アントレプレナーの教科書』

顧客を発見し、見極める方法

  1. 課題を抱え、その課題を理解している顧客がいること。
  2. 顧客が解決策を探していて、期限もあること。
  3. 顧客が課題解決にお金を惜しまないこと。

はじめは顧客を絞ることが重要です。商品を開発することにおいて、時間にもヒト・モノ・カネの資源にも限りがあります。

切実な課題を持った少数の顧客に「どうしても欲しい」と思ってもらえる商品に仕上げる。少数の顧客にとって本当に価値のある商品をつくることができれば、後から顧客の範囲を広げることができます。製品開発より顧客開発を重視することの大切さが述べられています。

 

『スターバックス再生物語』

スターバックスは2007年頃、世界中で低迷していました。その問題をどう解決したのかを学べることができるのが本書です。

ひと言でいうとスタバらしさを取り戻せたから。

コーヒー豆を店舗で挽く方式に戻し、臭いの強いチーズを使った商品を廃止して店内にコーヒーの香りが際立つようにしたという取り組みなどが紹介されています。

スタバの本質的な部分を復活させ、改善すべきところは徹底して変えていく。

低迷したスタバを救ったのは、「らしさ」の追求だったことがよく分かります。

 

『予想どおりに不合理』

人は意外と合理的に判断できません。

不合理な人間な行動にはパターンがあり、それを解き明かすのが行動経済学。

行動経済学を分かりやすい例えで学べる1冊です。

 

相対性の真実

人は比較対象があると、どうしても比べて考えてしまいます。

例えば、自分と他人の給料を比較して喜んだり、悲しんだりしてしまう経験は誰にでもあります。

正しく考えるには、比較せずに視野を広げることも大切です。

 

需要と供給の間違い

需要と供給のバランスで市場価格が決まると考えるのが一般的ですが、そうとも限らないというのが行動経済学の考えです。

「払ってもいい」価格は「アンカリング」により簡単に変わってしまうことが紹介されています。

「アンカリング」とは、見せられた数字に「払ってもいい」価格が左右されてしまうことです。大きい数字と小さい数字を見た人では、大きい数字を見た人の方が払ってもいい価格が高かったそうです。

 

高価な所有意識

人は自分の所有物を過大評価します。自分の所有ではなくなることをとても嫌います。これを「保有効果」と呼びます。

「お試し期間」や「30日返金保証」があっても一度契約すると所有し続けたくなるのが人の性です。

自分が非所有者であるように考えると無駄な出費もおさえられるかもしれませんね。

 

『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』の感想

筆者おすすめのMBA必読書が50冊、大切なところだけ知ることができるのが本書の良いところです。

紹介されている50冊を読もうと思ったらかなり時間がかかりますし、途中であきらめてしまうと思います。

本書を読んで気になった本があれば購入して、じっくり読むのがおすすめです。

ビジネスの知識を網羅的に知りたい人はぜひ読んでみて下さい。

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